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1998年にヤマハ「YZF-R1」がデビューしたのをきっかけに過熱化した「1000cc スーパースポーツクラス」。長らくは日本の4メーカーが覇権争いを演じていたが、2009年秋にBMW が「S1000RR」をこのカテゴリーに投入。アルミ製ツインスパーフレームに並列4気筒エンジンを搭載するという日本車勢のスタンダードをあえて踏襲しこのジャンルに割って入ると、サーキットでも一般公道でも、このクラスが日本車勢だけのものでないことを証明してみせた。
2012年モデルでのフルモデルチェンジを経て、2015年型ではついに第3世代へと進化。電子制御のセミアクティブサスペンション『DDC』を装備したほか、最高出力も199psにまで向上。日本仕様もヨーロッパと同じフルパワーを手に入れ、戦闘力をいっそう高めている。

そんな「S1000RR」。一般公道では、アクセルを全開することはまずできない。なんたって1速でも100km/hを超えてしまう強烈なパワー。8000〜12,000rpm付近がパワーの盛り上がるところで、そのレンジを気持ちよく使えるのはサーキットということになるが、その回転域より低いところを使ってノンビリと公道を流していても、スポーツ性能の高さは充分に実感できる。

車体が軽く、ハンドリングもシャープ。タイトコーナーを想定して、パイロンの回りをグルグル回ったりもしたが、超低速域でも扱いやすいから最近のスーパースポーツはスゴイ。狭い場所でのUターンも、躊躇うことなくできてしまう。



丸目と吊り目の左右非対称ヘッドライトは初代から受け継ぐものだが、新型ではその配置を逆にした。2012年型までは右が丸目、左が吊り目だったのを入れ替えている。写真は左から2015年型、2012年型、一番右が2010年型。

細かい点を見ると、ディメンションが見直されたのがわかる。スイングアームピポットの位置が3mm下がり、ホイールベースは1422.7 1438mmへと15.3mm延長。キャスターアングルを24度 23.5度、トレール量を98 96.5mm、フォーク突き出しを12 6mm、着座位置は5mmほど上がった。



クランクとミッションのメイン/カウンターシャフトを三角形にレイアウトし、前後長を縮めるとともにカムチェーンを右端にレイアウトすることで各シリンダーの間隔を揃える並列4気筒エンジンは、日本車勢の水冷DOHC4バルブでもお馴染み。ただし、バルブ駆動は「ロッカーアーム式」で、2015年式「YZF-R1」を除いては日本車勢(CBR1000RR、GSX-R1000、ZX-10R)は直押し式となっている。
※エンジンのイラストは2010年モデル。

「DTC」(ダイナミック・トラクションコントロール)と名付けられた「トラクションコントロール」の進化もスゴイ。もはや200ps に達するハイパワーを自由自在に扱うのは、Moto GP ライダーであっても無理というものらしい。
今となってはパワー制御を電子ユニットがおこなうのは常識でさえあり、これは乗り手のミスを補うためだけの消極的なものではなく、より高次元な走りを実現するための意欲的・積極的な発想からなるものだ。


最新式は前後輪の回転差だけでなく、車体のバンク角や加速度、ギヤ段数、アクセル開度など総合的に判断し、パワー特性を巧みにコントロールする。
誤解しないで欲しいのは、たとえばコーナーの立ち上がりでアクセルをワイドオープンするとき、パワー感が削がれてしまうのではなく、車体をより速く走らせるのにこれ以上はないという限界点で制御してくれるということ。持て余すパワーを、電子制御によって効率よく路面に伝える。つまりスライドしても、最小限に抑えるというわけだ。
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【試乗記】進化した電子制御マシン『BMW S1000RR』を詳細レポート:青木タカオ originally appeared on Autoblog Japan on Fri, 24 Apr 2015 06:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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